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レゴシリアスプレイで見えた会議とフロー状態

この記事は ファシリテーター ファシリテーター Advent Calendar 2017 - Adventar
の4日目の記事です。

長くなったので結論を先に書きます。

会議をワークショップだと思ってみると、デザインとツールを活用して、会議の目的を達成しやすくなる可能性があるということです。

昨年は下記のようなものを書きました。
tetsunosuke.hatenablog.com

その後、予告通り私個人が「LEGO® SERIOUS PLAY®トレーニング修了 認定LSPファシリテーター」となり、「教育研修ファシリテーター」に加え「ワークショップデザイナー」という2つの立場で「ファシリテーション」に関わっています。

それとはやや異なるポイントとして、今年「会議のファシリテーション」をする機会が何度かあったので、そこで感じたことを共有したいと思います。

奇しくも昨日担当の河原氏が、「デザインする」ということや、アイスブレイクと没入感について言及しており、部分的に共通するテーマとなったのかなと思います。ちなみに私個人としては、ファシリテーションとデザインはセットではあるが分けて考えるように心がけています。(良し悪しの問題でも、双方を分業できる贅沢な環境にいるわけではありません。デザインはデザインとして一度完結し、ファシリテーションの際にはより「そこで起きたこと」に注力したいと思っているからです)

そもそも

レゴシリアスプレイで見えた会議とフロー状態、というテーマですが、そもそも「レゴシリアスプレイ」とか「フロー状態」ってどういうことなの、というところから。

レゴシリアスプレイ

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日本でファシリテーターをトレーニングしているマスタートレーナー協会の方が所属する株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツのページより ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ - レゴ®シリアスプレイ®とは?

「ブロックを用いて立体的な作品を創ることで、各人の心の奥に隠れた内観を可視化する」

というのが、レゴシリアスプレイの目的です。(以下、LSPと表記します)

特定の概念について、その概念を言葉で表してしまって、各人の思う「微妙なニュアンスの違い」などがそこから消されてしまったという経験、誰しもあると思います。例えば、ブレストで、割と尖った意見が「これはこのカテゴリね」と言われて誰かの付箋の後ろに隠されてしまう。そんなことのないように、「100:100」という概念の会議 を実現できるのがLSPです。

※ 正直、体験してみないとわからないと思いますので、私を含むトレーニング修了認定ファシリテータがお近くにいる場合はぜひワークショップの開催を打診してみてください

最近教えてもらった中では下記の体験ブログがとても良いです。

sa-chan.net

100:100

http://connectthedotz.eu/wp-content/uploads/2016/02/80-20.png
出典: http://connectthedotz.eu/how-to-fully-engage-80-people-in-a-meeting/



100:100 に対する概念は20:80と言われる「全体の2割の人が会話の8割を独占する」状態です。LSPでは「ロンリー・ガイ」を尊重し、全員に100%の発言機会が持てるようにし、普段は目立たない人が脚光を浴びたり、結果に対して全員がコミットできる、というような状況を作り出すことができます。

これを「会議」の場で実現することで、特に「納得感のある結果」をもたらすことができる。これが私個人がこの1年で会議にLSPを導入したときに体験したことでした。

もちろん、会議にもいろいろな性質があります。「何かを決定する」ことが主目的の会議ではうまくいきません。「思いを共有する(完全に合意することはできません)」ことの延長に「何かを一緒に目指す」会議。まさに、

アフリカのことわざ 「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」

という会議に適していると思います。

自社では、組織改編後のオフサイト討議や、中期経営計画会議、といったようなシーンで、この方法を活用してみました。(特に「えらいひと」が座っている会議は、20:80どころではなく、その人の一声ですべてが決まってしまうことがありますからね・・・それが必ずしも悪いという意味ではありませんが)

フロー状態

フロー状態、フロー理論はミハイ・チクセントミハイが提唱する概念です。

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Deviewstoryコラム::ミハイ・チクセントミハイのフロー理論について | 中学・高校・大学・専門学校、夢を叶える学校と仲間が見つかる。Deviewstory

学びを得るワークショップでも、会議でもこの集中状態を実現することでより良い成果が出る、ということはファシリテーションをしたことのある方には経験があるのではないでしょうか。

フロー状態とLSP

LSPではこの「フロー状態」へ参加者が自然に入るように「スキルビルディング」という段階が含まれています。ブロックを用いて組み立てること、組み立てたものを使って話すこと、といったことが、例えば半日のLSPワークショップであっても、1時間ほどを費やすようにと言われています。

「チェックイン」「アイスブレイク」「ウォーミングアップ」とはまた少し違う特殊な活動であると思います。

というわけで本題です。

今年学んだなと思ったこと

私自身は今年、LSPファシリテーションのトレーニング以外にも、

【AP】アドベンチャープログラミング | Project Adventure Japanファシリテーションや、ビジュアルプログラミング言語 ビスケット(ビスケットとは | )による特に子供向けのファシリテーションスキルを学びました。

ワークショップを実施することにある程度慣れてくるとどうしても「ここはもっと効率化できる」とか「決められた時間ができるだけ効果が高くなるようにいろいろ詰め込む」ということをやってしまうステージがあるような気がします。最初は自信がないので余裕を持った時間設計にするのですが、慣れると、そこが若干雑になります。

私は、アドベンチャープログラミングでは「アイスブレイク」「ディインヒビタイザー(抑制を解く体験)」という分類がされている導入や、ビスケットでは「こどもでもつまづかないような説明」を用意し、その後はこどもの自主性に任せる、というような進め方を体験し、「一度参加者の目線になって飛躍がないか」をチェックすることを忘れないようにしたい、と感じました。

またLSPのような、「メソッドが厳格に決まっているもの」については、それを作った人のことを理解するために、十分にそれに習熟する必要があります。時間がないからここは手抜きで行こう、ということをやると、必ず参加者の中に「?」が生まれてしまうようです(そのことがこちらに伝わればまだマシですが、それにこちらが気づかないままになってしまうことがあると思います)。メソッドのあるものについてはまず「守破離」ということですね。

「会議のファシリテーション」にもきちんと段階を作ってみよう

お堅い会議にはアイスブレイクはいらない。

そう決めつけていたりしないでしょうか。
今年私は自社の「経営会議」のファシリテーターを4回務めさせていただきました。(平社員です)
暗い部屋でパワーポイントの資料を全員で眺め、誰かが報告をする。そんな会議をちょっと変えてみたいなと思い、まず照明をつけてもらい、会議の始まりに「月曜朝、いまの元気度」をせーので示してもらう、というチェックインを行い

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「今日の会議に関する期待」という問いを同様に行いました。
これは「誰でもすぐ答えられる問い」から「ちょっと急に聞かれると答えにくい問い」へと移行した例です。

やはり、「成し遂げたい状態」が会議や商談でもあるのだとしたら、そこへお互いが気持ちよく一歩目を踏めるような導入を行い、最終的にフロー状態に入れるような場をつくること。それがファシリテーターの一つのあり方なのではないかなと思います。

会議をワークショップと思ってみてはどうか

というわけで、会議をワークショップだと考えてみる、というのが、一つ、今後ファシリテーターとして捉え直してみたいテーマである、というのが来年の目標としたいところ。

ワークショップをそもそも、「なんらかの課題を持った人々が集まる場である」という捉え方をするならば、会議はまさにそういう場であり、そのためにアジェンダやタイムテーブルを共有したり、リフレクションにも活用できる議事録を残したり、場合によってはグラレコ・ファシグラを活用するなど、ワークショップで用いるメソッドを活用できるケースがたくさんあるような気がします。また、そこに関わるファシリテーターは、あくまでも場が決定しようとしていることについて「促進する」というかたちで関わる。自身が結論をもつのではないという当たり前の関わり方をより意識することができるのではないかと考えました。


おわりに

今年も年一しかまとめを書かないので長〜〜〜文になってしまいました。
文章を書く練習ができていないため、文章の中にはまだまだ飛躍があるなと感じている次第です。
来年はどのような気づきを得ることができるか。自分自身も楽しみです。

来年はこれに出れたらいいな!
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次は「Reiko Wada」さんです。
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