この記事は ファシリテーター Advent Calendar 2016 - Adventar の5日目の記事です。
私とファシリテーター
2016年より、教育研修ファシリテーターとして、社員研修に関わることとなりました。
2013年から、自身の所属する会社にてシステム開発研修の枠を担当しており、その中で2つのワークショップを実施したことをきっかけに、今年から研修全体の設計を人事部門と一緒に設計しています。
社内でいくつか実施しているワークショップの中で最も学びが大きいと思われるのは「ゲーム」であると考えており、その過程で、7つの習慣ボードーゲームの公認ナビゲーターとなりました。
また、ワークショップデザイナー、ファシリテーターの交流会で知った、写真を活用した POINTS OF YOU(R) というツールに出会い、認定エバンジェリストとしても活動しています。
2017年は、LEGO(R) SERIOUS PLAY(R) の ファシリテーター講習を受講予定で、抽象的なものを使い自身の内面、潜在的な意識を表現することで組織の力を高めるお手伝いをしていきたいと考えています。
私とゲーム型研修の出会い
大卒で入社したメーカー企業にて、二週間の全部門合同の導入研修、職種別の研修と、あわせて4ヶ月程度の研修を受講しました。
振り返ってみると「貿易ゲーム」や「プロジェクトアドベンチャー」のようなアクティビティが何度も行われ、そこで繰り返されたメッセージは「PDCA」でした。今でこそ計画有りきのPDCAはビジネスのスピードにそぐわないとされますが、いわば「仕事の基本」を叩き込まれたと思っています。
他のチームやメンバーと競い合うことでゲームに没入し、結果として何がうまくいって何がうまくいかなかったのか、また、その途中での自身の言動は周囲からどのように見えているのか、そのようなことをアクティビティを通じ学び、当時の講師に伝えられ、次のアクティビティでは自分なりの工夫をして、というサイクルが非常に新鮮であったことを今でも覚えています。
その活動こそが「経験学習モデル」だったのです。
経験学習モデルについてのおさらい
詳しくはリンク先を読んでいただきたいのですが、ゲーム研修による学びというのはまさにこのモデルにのりやすく、あるゲームを実施してそこで経験した学びは直接的に業務に活かせるわけではありません。しかしそれを「概念化」することこそが学びを最大にします。しかし、そこに「ファシリテーター」がいないと、ゲーム内で起きた出来事を、プレイヤーたちに適切に認識させることができません。
たとえば
- ふとした発言が場を変えた
- 誰かの言動を黙認してしまったことが結果的に失敗を招いた
などの「事象」や、その事象が発生したときに周囲がどのような行動を取ったか、これをファシリテーターが適切に観察し、フィードバックをする必要があります。もちろん、ツールとして写真を用いたりして、本人たちに内省を促すのも良いでしょう。
その場に「ファシリテーター」として携わることには難しさがあります。まず各ゲームには「ありがちな罠」がたいていあるものですが、ファシリテーターは「決まった結論を教える存在ではない」ので、その罠へ誘導してもいけません。しかし、ある程度はその罠にハマったり、罠にハマったことに対してのプレイヤーの気付きに対し、それを「正解のひとつ」となるような誘導をある程度は行うことになるからです。「研修」である以上、「こちらが用意した何らかの学びを持ち帰ってもらう」ことが必要になるケースが多いからです。
おすすめのゲームの紹介
新入社員研修では「PDCA」の重要性を学んだのですが、現代の新入社員には、PDCA、その先の「GPDCA」や「OODA」といった考え方を取り入れていく必要があるように思います。
ここからは私が活用しているゲームについて紹介します。
チームビルディングとコミュニケーション「マシュマロ・チャレンジ」
下記の動画で紹介されているゲームです。
当社では研修の前半にこのゲームを取り入れています。特に、(どこでもそうだと思いますが)当社で求められる「主体性」が必要とされます。つまり、「その場で起こることを自分ごととして捉え、自分の言動で周囲を動かしていく」ということが求められます。限られた材料で「目標を目指すこと」を知り、「周囲の仲間と合意する」ことや、「チーム内で自分の場所を動的に見つけていく」ことが求められる、ファシリテーターにとってもスリリングなゲームです。
食品を扱うことに批判等があるので、代わりに紙のみでタワーを作る「ペーパータワー」や、レゴブロックを高く積み上げる「レゴの高積み」なども良いでしょう。
シンプルに積むだけではなく、色や形の使い方に制限を加えるルール変更を施すと、また状況が変わります。
シンプルなコミュニケーション、「次回こうすればよかったのでは」が生まれやすい 「THE GAME」
- 出版社/メーカー: Nurnberger-Spielkarten-Verlag
- メディア: おもちゃ&ホビー
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「協力型ゲーム」の中でもルールが極めてシンプルなゲーム。4名がおすすめ。基本的に「相手が欲することをする」ということを基本としているがコミュニケーションがある程度断絶されているという点で、やや業務をすでに経験したことのあるレベルのメンバーに対して内省をもたらす用途が良いかもしれない。
コミュニケーション断絶系で言えば
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2016/03/19
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も良いかもしれないです。
刻々と変わる状況への対処。ポイントは優先度づけ? 「禁断の島」
- 出版社/メーカー: Gamewright
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業務でもありがちな「各プレーヤーそれぞれができる能力が違う」という状態で協力してミッションを達成するゲーム。ミスは一人のプレイヤーの責任ではなく、全体でその判断を下したからだ、ということが理解できる。また、ルールがそこそこ複雑なので、ルールをきちんと理解できているか?また、理解できていないとしたらそれを質問できるか?などの仕事への基本的な取り組み方を知ることもできる良ゲー。
プレイ時間も45分程度なので「PDCAが実際に活かせているのか」をみるために2回プレイすることもおすすめ。
予算と時間があえばたぶん最強「リアル謎解きゲーム」
「リアル脱出ゲーム」を提供するSCRAP。
youtu.be
SCRAP は専用で研修・懇親会向けの制作も行っています。
他には、常設型の なぞともカフェ 新宿店 最新情報 - 謎とも/なぞとも - 参加体験型イベントレビューサイト やそこで扱っているカップ謎やNAZOLETなども手軽で良いですが、製品の都合上1回しかプレイできないものもあるので、複数個購入が必要なものもあるし...
特にチーム戦で行うリアル謎解きゲームでは、制限時間内でのミッション達成のため、たくさんの問題を解く必要があるが、その解答プロセスや、新しく得た情報を共有しないとクリアできないものが多いため、こちらも業務で発生しがちな問題をゲームとして体験できます。
最後に(振り返りの活動の紹介)
me/we/good/bad の4象限 という名前の振り返り方法を利用しています。KPTでも良いのですが、もっと「自分」にフォーカスしてもらいたいため、考案しました。(この象限モデルは「タモリのボキャブラ天国」の「バカパク・インパク知」を参考にしています)
良かったこと(good)、悪かったこと(bad)をそれぞれ度合いごとに、自分自身のこと(me)、チームまたはメンバーのこと(we)としてマッピングします。
メンバー間のギャップ(例えば9割の人が良い活動だと思っていても1割の人には何らかの不満があった可能性がある)を共有して解決策を探ったり、進行中には言えなかったことなどを改めて問題として提起したり、活動に対して個人が犠牲的になったことなどを共有し、次回に活かす時に使えます。
特に「自分の良かったこと」はなかなか挙げづらいが、「全体で良かったこと」として特定個人の良いはたらきが挙がったりすることで、全体として客観視することができる。また個々のメンバーが持っている価値観を知ることができます。
それぞれの象限へ書かれる「個数」を同じ個数にするように指示することで「自分が悪かったことばかりにならない」など、「悪かったことだけでなく良かったことの原因を振り返る」癖や、「メンバーの良い行動を褒める」ことにつなげることができるようになります。
その他参考
- 作者: 藤本徹,池尻良平,高橋興史,為田裕行,福山佑樹
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2人から100人でもできる! 15分でチームワークを高めるゲーム39
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グループのちからを生かす―プロジェクトアドベンチャー入門 成長を支えるグループづくり
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- www.gameryouiku.com
長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。
ゲームを体験してみたい方など、ぜひコメント欄等でご連絡ください。
ゲーム研修の難しさのひとつは・・・実際に体験してみないとおすすめ度がわからないことだと思います...
今年は、レゴ マインドストームを用いたゲームを開発しようとしていますが・・・間に合うかな・・・。
6日目は
再度、高柳さんが書いてくださるそうです!
note.mu