転"職"のお知らせ
この記事はいわゆる転職エントリです。
というわけで日付の変わろうとしている明日で39歳。まさに何かを変えるとしたら今年がラストチャンスでした。
まさにこの記事の後半にあるように、昨年は1月にLEGO(R) SERIOUS PLAY(R) のファシリテーターのトレーニング、アドベンチャープログラミングのファシリテーター研修という、普段の業務を離れて4,5日、特別な空間で自分がやりたいかもしれないことをすでにやっている人たちや、これからいろいろ挑戦をしていく人たちとの出会いがありました。
キャリアワークショップで明確になったこと
その活動を終え、LSPの錬成会という自主勉強会で、30代社員のキャリアデザインを目的としたワークショップに参加した際に、5年後の自分、というテーマで上記の作品を作り、
経験学習による体験、知恵を伝承し、その場づくりをすることで、夢の実現に向かう仲間のチャレンジを支援する
と書きました。
自身がたまたま受けることのできた教育の中のいくつかはとても素晴らしいもので、特にアドベンチャー教育は新卒で入社した会社の導入教育で受けたことが今でも強い思い出となっています。LSPとの出会いもたまたま知ることができてたまたま申し込むことができ、諸先輩との交流をすることができたことでこの体験、知恵というのものは自分自身の中にとどめておくのではなく、伝承していくべきものなのではないかという思いが強くなりました。
一方で、年末に受けた「他人に目標を決めてもらう会」では、今から新しい何かをさらに学ぶのではなくすでにあることをかけ合わせて何かを実現するような努力をしたほうが良いのではないか?というアドバイスを頂き、そこから「社会人となってからエンジニアとして業務に携わってきたこと×教育やコミュニケーション・コーチングに関する視点、経験」ということを活かす方法、というのを真剣に考えました。
プロダクトをエンジニアリングで産むということに対しての限界
一方でこれらの教育等に関わる見識を広げていく中で、主たる業務であるエンジニアリングの能力は、そりゃあ努力していないのであがりません。自身の興味が薄れていく、ということを具体的に感じたのが「新しい技術が出たときにそれを実際に触ってプロトタイプを作ってみる」ことがほどんどなくなってしまったことでした。
ある種頭でっかちになってしまい、新しいことをするにも理想を追いすぎて何もかもがうまくいかない。コードを書こうとしても変数クラスの命名どうしようと、正解っぽいものに対してこれという答えが出せず前に進めない状態が多かったように思います。
ちなみに、この転”職”を決めてからは、案外興味を持ってAmazonConnectを使ったIVRを絡めた脱出ゲームを作ったり、shiawase2.0というイベントで使えそうなワードクラウドを作ってみる ということをやってみたりと、どちらかというと基本的に技術者のいないコミュニティにおける「できること探し」の結果技術を使う、というシーンが出始めています。自分としてはエンジニアリングのコミュニティからもいろいろな恩恵を受けてきたので、それを別のコミュニティへ返していく(送っていく)ということは、意味のあることなのではないかなと思います。
で、次なにするの
2009年10月に現職に入社して以来、エンジニア職として勤めてきましたが、来る2018年4月1日より、管理部門の人事領域のメンバーとして転職することになりました。職を転向しましたが、籍はもとの会社に残しており「出向」としてグループ会社を束ねる管理部門への在籍となります。というわけで「退職エントリ」ではありません。
今のところ、
- 社内で今までなかったキャリアパスを作っていくこと
- 教育研修ファシリテーター・デザイナー
- 実際の指導を行うトレーナー・インストラクター
- 技術的なことを非エンジニアリング部門へ浸透させていくトランスレーター
- 組織を横断して自身が関わるチーム・プロジェクトを活性化するカタリスト
- 組織感のコミュニケーションをよりよく、うまくするコミュニケーションエンジニア、レクリエーションクリエイター
などと、研修担当は様々な役割を持つようにと
研修設計マニュアル: 人材育成のためのインストラクショナルデザイン
- 作者: 鈴木克明
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2015/04/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
この本に書いてあったような活動をしていければと思います!
とりあえず、企画職、というのが一つの軸なので、周りの人とたくさん壁打ちをして、みんなの力を借りて前に進められるような仕事が出来ればと思います。みんなと一緒に、遠くへ行くのだ。
それにしても、「tetsunosukeはウチの宝だからね」とか、「○年越しの念願叶ってようやくこっちにジョインしてもらえた」とか「新しいことができるようになってワクワクしますね!」とか言われるとそれが盛ってたとしても嬉しいもんですね。
離れた部署の方は、、うまいこと迷惑かからないようにしたいと思います!
2017年を振り返る
今年は3本ブログ書いた!!
というわけで、2017年の振り返りです。
写真は年末行ったレクリエーション「人間あやとり」の様子。
今年の主なテーマは
- ファシリテーターとしてプロになる
- エンジニア職からの脱出
- より「ゲーム」を極める
の3つでした。
ファシリテーターとしての一年
LSPを究めんとす
まず、LEGO® SERIOUS PLAY®トレーニング修了 認定LSPファシリテーターになるべく、1月に4日間のトレーニングを受講しました。
関連してファシリテーター同士の勉強会「8月東京錬成会」では事務局に立候補。経験の少ないファシリテーターが考えたワークショップを行う、というコンテンツのサポート役として、同期受講生や先輩たちのサポートと事務局のつなぎ役となりました。ここで勉強になったことは、聞いてはいたことですが、ファシリテーションももちろん、デザインの経験の数をこなすこと。また、数をこなしていく中で「教科書どおりにやる(というか、大事だと言ってることをちゃんと真に受ける)ことの価値」でした。
この錬成会という場、トレーニングを受講したことを示す資格を持つ人たちが、そのトレーニングを請けただけに終わらせず研鑽をしていき、互いを高める場として、その最大勢力とも言える東京でたくさんのファシリテーターとの出会い、そこからのつながりというものが今年自分に与えた影響としてとても大きなものとなりました。
またこの研修受講同期の13名。うち数名とは今年だけで一体何度会っていろいろな活動をしたことか・・。
冒険教育
プロジェクトアドベンチャージャパン主催の「アドベンチャープログラミング」のファシリテーター講習会に参加。この同期9名とも、5日間の合宿研修だったこともあり、とても良い経験をすることができました。
もともとは会社でPAを実施できる講師をお呼びしている部署があったので、代わりに実施するところに関わることができないかと思い、ファシリテーターとして実施できるスキルを身に着けたいという動機で参加したものですが、それとは異なり「信頼」ということについて見つめ直す機会となりました。
経験学習の中で学んだ信頼
相手を信頼して相手の支える中へ倒れ込む「トラストフォール」というアクティビティがあるのですが
http://www.yukidaruma.or.jp/ZAIDAN/pa/low.htm
自分は「相手を信頼していればできる」と思っていたし、数日間を過ごした相手を信頼している気持ちに嘘はないのですが、それよりも自分のことがなぜか信頼できず、倒れるときにびびって体制を崩してしまうということになってしまいました。このことで気づいたのが「自分が信頼できないから<お墨付き>に走る自分がいる」ということでした。
上記LSPも、「トレーニングを受けたい」ということ以上に「お墨付き」としての認定が欲しかったのだということに気づきます。
その他にも「チャレンジ」に関しても自分の中でいろいろ思うところがあり、なかでも「チャレンジを真剣にしている人をどう支援するか」ということが一つのキーワードになった感じがします。
ちなみにこんな壁を登ってきました。
チャレンジをしている人、傍目に見るとものすごいかっこ悪いんですよね。笑。
仕事
一方で本業です。
関わるメンバーの離職、採用している技術への関わりの中で、メインストリームからの離脱をする決意をします。DDDとかオブジェクト指向とかに関わるフレームワークの方向性や、JavaScriptも新しいフレームワークの良いところ、等々のディスカッションについて理解が追いつかなくなったこと、また、そもそもそれらに全く興味が持てていないことに気づき、現職(職種的な意味で)への関わり方を真剣に考えます。
何か新しいものが出てきたときになんとなく触ってみる という行為がこの本職に限ってはほぼゼロになった。これはもう興味がない、ということにほかならないように思います。
というわけで、日々トイレ掃除をする仕事を引き受けることにしました。
と書くと汚いですが、人が作ったもので何かがあったときにその問題を切り分けて、適切な対処をする、というお仕事です。未だにORマッパーの動作がよくわからないので、そこらへんで苦戦するし、ヤツが勝手にメモリを抱えるのでそこらへんでの調査ではあまり知識が活かせなくて苦労してますが。
まあなんというか上記書いたような老害であり、広く薄くな関わり方をしていると活かせる部分ってこんなもんなのかなという感じです。
環境の変化
昨年からグループ会社になったことで様々な環境面での変化もありました。
この辺は書けないことも多いので割愛。
また、「ちょっと何言ってるかわからない(老化により人の話を聞くのが疲れる)」という事象がよく起こるようになりました。マルチタスクをある程度前提として過ごしていたのですが、どうやら頭の回転が急激に鈍ってきたようで、人の話が理解できなくなるケースが多発しています。(今までは前提を聞かなくても把握できていたのに、たぶんその前提を聞くことができなくなったケースが増えたので理解できないのだと思うことにしている)
伸ばしたい領域を仕事にすることはできた
就活生に会社のことを知ってもらうための体験「ワンデイインターンシップ」を設計し、業務として社外のお客さまに向けてワークショップを行いました。
自身が就職活動において課題だと感じていた点を、写真というツールを通じて「好感を持ってもらうための写真(と、それにあった履歴書)を作るにはどうすればいいか」ということを考える時間を提供しました。
このあたりのデザインと実施してのフィードバックをもらいつつ、ネタをどんどんストックしていって仕事っぽくなっていけばいいなと思います。
ゲーム
より究めたいと思い、今年はゲームに関する活動を増やしました。
ゲームマーケットやそれに類するものへの参加、社内での人狼会などのゲーム会の開催など。
また、慶応大学のシステムデザインマネジメント研究会のイベントなどへも参加するなど「ゲームってそもそもなんなのか」をより消化しようという気持ちと、「ゲーミフィケーションを活用した学び」について知りたいと思っています。
今年の謎解き
- 丸の内謎
- 蒲田グランデュオ
- ゲームマーケット秋
- 本好警部(10/16)
- スコットランドヤードからの脱出
- 東京ドームシティジョジョ
- 下北沢街歩き
- 取篭メラレシ姫ノ呼声(電脳九龍城2)
- アンティークルームからの脱出
- 謎の部屋からの脱出
- 不思議な晩餐会へようこそ
というところでしょうか。
また会社のハロウィンではイベント「ハロウィントレジャーハンティング2017」と題し、社内捜索系の謎解きイベントを制作しました。
謎解き以外にも、少しずつゲームデザインのことが理解できるようになってきたので、消費者側だけではなく自分で何かが作れるように2018年は制作へ関わっていきたいと思っています。
その他の学び
今年はすでに獲得した学びをより強化させる活動が多かったように思います。
- Points of You
- FACESお披露目会
- マスタートレーナーを目指す方に体験イベントの支援
- マインドマップ勉強会:
「マインドマップが学べてかける読書会【第3弾】」を開催しました。 - ゆるゆるクリエイティブ TOKYO
- チームビルディング
- プログラミング教育
- 心理学系
NLPやアドラー心理学は人へのものの伝え方という面で自身のあり方を変えてみたいという気持ちになったので、これは来年継続的に学んで各種理論をそれなりに体系立てて説明できるようになりたいと思っている。
趣味その他
ほっとくと交友関係がどんどん閉じていく今日このごろ。妻がTwitterで交友を広げていた方との芋煮会(仙台風山形風対決)や、友人の紹介がなければ行く機会のなさそうな府中競馬場など、そこらへんの活動はぼちぼちであった。
続けている系でいえば高校野球はTV放送も入る保土ヶ谷球場への野球観戦(隼人園芸を見れた)、音ゲーはほぼノスタルジア(6級で上げどまりなう)、バスケは会社の同僚に誘われ久々に参加したら3分で息が切れるという感じ。
来年もこのくらいは継続しつつ、疎遠になりつつある人もいる気がするので趣味等々を通じて何らかのアクティビティをしていきたいなと思う。
おわりに
他人に目標を決めてもらう会にて決めたこと、「今持っているスキルの中で刺せる領域を見つけ、持っているものをフルアウトプットできるようなことを見つける」
ということでしたので
「ファシリテーションやゲーム開発×サービス開発・エンジニアリング周辺知識」を活かして、「サービス企画職を育てる業務に従事する(エンジニア職からの脱出)」
に対して、下記の結果かなと思いました。
来年は
今年インプット過多な気がして、あまり勉強会などに参加する機会も意識的には増やさなかったので、アウトプットをきちんとこなせる機会をちゃんと作りたいと思っています。そして来年こそ脱出・・・!
2017イチオシは協力ゲーム、「MagicMaze」
この記事は、ボドゲ紹介02 Advent Calendar 2017 - Adventar の8日目の記事です。
協力ゲームが大好きだ!
社内でのコミュニケーションツールとして、また研修・チームビルディングでアナログゲームを活用しています。競ったりするのも良いですが、協力ゲームで困難なものにみんなで立ち向かうという行為は、クリアしたかどうかに関わらず仲間意識を作ってくれると思っています。
今日紹介するのはMagicMaze
ヘムズユニバーサルゲームズ株式会社/Hemz Universal Games Co., Ltd. から今年発売されたゲームだ。
外観
約12cm四方の箱です
内容物
迷路のベースになるタイルと、コマ、各人が操作可能なアクションを割り当てられたパネルと砂時計、砂時計マスを使った後利用不可にするためのバッテン。
とりあえずこれだけあればできる。
説明書は全8ページ。半分以上は難易度の高いシナリオの説明なので、半分まで読めばプレイ可能だ。
プレイ概要
動画をみてもらうのが手っ取り早いが・・・
コマを、各個人に割り当てられたアクションで動かしていき、探索を使ってパネルをどんどん増やしていき...
自分の色のアイテムを取得し(全部のコマが同時にアイテムマスに止まる必要がある)
決められた出口から脱出!(探索をしないと出口は最初からわからない)
しかし...
時間には制限がある。砂時計のマスに止まったときにこの砂時計をひっくり返すことができる。
また、そもそもプレイ中のコミュニケーションは禁止されており(しゃべったり指差してはいけない)
右に進んでほしいのに、そのアクションを持っている人がそれに気づかない!なんてことがよくある。
また、盤面が広くなると、コマが視界に入らなくなるので、自分がすべきアクションを逸することがある。
それを解決するのがこの「気づいてポーン」
「いまエスカレーター乗って!!」と言いたいときに、そのアクションを持つ人の前にこのポーンを置く。
置かれた側は「どのコマを動かしたらいいか」に気づかなかったり、違うアクションをしてしまったりする。気持ち、伝わらない!!
そんな感じでみんなで脱出をするゲームです。
おもしろポイント
- ゲームの構造的に、最初に盤面を探索して開拓していかないと、そもそもアイテムが見えてない、ゴールが見えてないので、「今何を優先するか」で合意を取らないと失敗する
- 砂時計ポイントに到達したら、次のアクション(コマを動かしたり)をするまでは喋っても良い(レベルがあがるとそれすら不可となる)ので、砂時計をいつ使うか、残りの砂時計はいくつあるのか、誰が砂時計をギリギリでひっくり返すのか、という意思決定をしないといけない。
- 「気づいてポーン」を使っても、結構気づいてくれない。
- 砂時計をひっくり返す数には結果的に上限があるので、プレイ時間の上限が見積もれる
- その時誰が何を見ているのか、というのがとても重要(熱中しすぎて気づいたら砂時計が落ちてしまうことがある)
- いくつかのシナリオが用意されていてそれによってマップタイルの数が変わったり、ルールの制約ができたりする。慣れてきて息が合うメンバーじゃないととてもじゃないけどクリアできそうもないです・・・w
2017ゲームマーケット秋で
2月に、MagicMazeの新作が出ると発表されていました。
どんなバージョンアップなのかな(難易度だけがあがるなら、いらないけど、楽しみ)
レゴシリアスプレイで見えた会議とフロー状態
この記事は ファシリテーター ファシリテーター Advent Calendar 2017 - Adventar
の4日目の記事です。
長くなったので結論を先に書きます。
会議をワークショップだと思ってみると、デザインとツールを活用して、会議の目的を達成しやすくなる可能性があるということです。
昨年は下記のようなものを書きました。
tetsunosuke.hatenablog.com
その後、予告通り私個人が「LEGO® SERIOUS PLAY®トレーニング修了 認定LSPファシリテーター」となり、「教育研修ファシリテーター」に加え「ワークショップデザイナー」という2つの立場で「ファシリテーション」に関わっています。
それとはやや異なるポイントとして、今年「会議のファシリテーション」をする機会が何度かあったので、そこで感じたことを共有したいと思います。
奇しくも昨日担当の河原氏が、「デザインする」ということや、アイスブレイクと没入感について言及しており、部分的に共通するテーマとなったのかなと思います。ちなみに私個人としては、ファシリテーションとデザインはセットではあるが分けて考えるように心がけています。(良し悪しの問題でも、双方を分業できる贅沢な環境にいるわけではありません。デザインはデザインとして一度完結し、ファシリテーションの際にはより「そこで起きたこと」に注力したいと思っているからです)
そもそも
レゴシリアスプレイで見えた会議とフロー状態、というテーマですが、そもそも「レゴシリアスプレイ」とか「フロー状態」ってどういうことなの、というところから。
レゴシリアスプレイ
日本でファシリテーターをトレーニングしているマスタートレーナー協会の方が所属する株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツのページより ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ - レゴ®シリアスプレイ®とは?
「ブロックを用いて立体的な作品を創ることで、各人の心の奥に隠れた内観を可視化する」
というのが、レゴシリアスプレイの目的です。(以下、LSPと表記します)
特定の概念について、その概念を言葉で表してしまって、各人の思う「微妙なニュアンスの違い」などがそこから消されてしまったという経験、誰しもあると思います。例えば、ブレストで、割と尖った意見が「これはこのカテゴリね」と言われて誰かの付箋の後ろに隠されてしまう。そんなことのないように、「100:100」という概念の会議 を実現できるのがLSPです。
※ 正直、体験してみないとわからないと思いますので、私を含むトレーニング修了認定ファシリテータがお近くにいる場合はぜひワークショップの開催を打診してみてください
最近教えてもらった中では下記の体験ブログがとても良いです。
100:100
出典: http://connectthedotz.eu/how-to-fully-engage-80-people-in-a-meeting/
100:100 に対する概念は20:80と言われる「全体の2割の人が会話の8割を独占する」状態です。LSPでは「ロンリー・ガイ」を尊重し、全員に100%の発言機会が持てるようにし、普段は目立たない人が脚光を浴びたり、結果に対して全員がコミットできる、というような状況を作り出すことができます。
これを「会議」の場で実現することで、特に「納得感のある結果」をもたらすことができる。これが私個人がこの1年で会議にLSPを導入したときに体験したことでした。
もちろん、会議にもいろいろな性質があります。「何かを決定する」ことが主目的の会議ではうまくいきません。「思いを共有する(完全に合意することはできません)」ことの延長に「何かを一緒に目指す」会議。まさに、
アフリカのことわざ 「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」
という会議に適していると思います。
自社では、組織改編後のオフサイト討議や、中期経営計画会議、といったようなシーンで、この方法を活用してみました。(特に「えらいひと」が座っている会議は、20:80どころではなく、その人の一声ですべてが決まってしまうことがありますからね・・・それが必ずしも悪いという意味ではありませんが)
フロー状態
フロー状態、フロー理論はミハイ・チクセントミハイが提唱する概念です。
Deviewstoryコラム::ミハイ・チクセントミハイのフロー理論について | 中学・高校・大学・専門学校、夢を叶える学校と仲間が見つかる。Deviewstory
学びを得るワークショップでも、会議でもこの集中状態を実現することでより良い成果が出る、ということはファシリテーションをしたことのある方には経験があるのではないでしょうか。
フロー状態とLSP
LSPではこの「フロー状態」へ参加者が自然に入るように「スキルビルディング」という段階が含まれています。ブロックを用いて組み立てること、組み立てたものを使って話すこと、といったことが、例えば半日のLSPワークショップであっても、1時間ほどを費やすようにと言われています。
「チェックイン」「アイスブレイク」「ウォーミングアップ」とはまた少し違う特殊な活動であると思います。
というわけで本題です。
今年学んだなと思ったこと
私自身は今年、LSPファシリテーションのトレーニング以外にも、
【AP】アドベンチャープログラミング | Project Adventure Japan のファシリテーションや、ビジュアルプログラミング言語 ビスケット(ビスケットとは | )による特に子供向けのファシリテーションスキルを学びました。
ワークショップを実施することにある程度慣れてくるとどうしても「ここはもっと効率化できる」とか「決められた時間ができるだけ効果が高くなるようにいろいろ詰め込む」ということをやってしまうステージがあるような気がします。最初は自信がないので余裕を持った時間設計にするのですが、慣れると、そこが若干雑になります。
私は、アドベンチャープログラミングでは「アイスブレイク」「ディインヒビタイザー(抑制を解く体験)」という分類がされている導入や、ビスケットでは「こどもでもつまづかないような説明」を用意し、その後はこどもの自主性に任せる、というような進め方を体験し、「一度参加者の目線になって飛躍がないか」をチェックすることを忘れないようにしたい、と感じました。
またLSPのような、「メソッドが厳格に決まっているもの」については、それを作った人のことを理解するために、十分にそれに習熟する必要があります。時間がないからここは手抜きで行こう、ということをやると、必ず参加者の中に「?」が生まれてしまうようです(そのことがこちらに伝わればまだマシですが、それにこちらが気づかないままになってしまうことがあると思います)。メソッドのあるものについてはまず「守破離」ということですね。
「会議のファシリテーション」にもきちんと段階を作ってみよう
お堅い会議にはアイスブレイクはいらない。
そう決めつけていたりしないでしょうか。
今年私は自社の「経営会議」のファシリテーターを4回務めさせていただきました。(平社員です)
暗い部屋でパワーポイントの資料を全員で眺め、誰かが報告をする。そんな会議をちょっと変えてみたいなと思い、まず照明をつけてもらい、会議の始まりに「月曜朝、いまの元気度」をせーので示してもらう、というチェックインを行い
「今日の会議に関する期待」という問いを同様に行いました。
これは「誰でもすぐ答えられる問い」から「ちょっと急に聞かれると答えにくい問い」へと移行した例です。
やはり、「成し遂げたい状態」が会議や商談でもあるのだとしたら、そこへお互いが気持ちよく一歩目を踏めるような導入を行い、最終的にフロー状態に入れるような場をつくること。それがファシリテーターの一つのあり方なのではないかなと思います。
会議をワークショップと思ってみてはどうか
というわけで、会議をワークショップだと考えてみる、というのが、一つ、今後ファシリテーターとして捉え直してみたいテーマである、というのが来年の目標としたいところ。
ワークショップをそもそも、「なんらかの課題を持った人々が集まる場である」という捉え方をするならば、会議はまさにそういう場であり、そのためにアジェンダやタイムテーブルを共有したり、リフレクションにも活用できる議事録を残したり、場合によってはグラレコ・ファシグラを活用するなど、ワークショップで用いるメソッドを活用できるケースがたくさんあるような気がします。また、そこに関わるファシリテーターは、あくまでも場が決定しようとしていることについて「促進する」というかたちで関わる。自身が結論をもつのではないという当たり前の関わり方をより意識することができるのではないかと考えました。
おわりに
今年も年一しかまとめを書かないので長〜〜〜文になってしまいました。
文章を書く練習ができていないため、文章の中にはまだまだ飛躍があるなと感じている次第です。
来年はどのような気づきを得ることができるか。自分自身も楽しみです。
来年はこれに出れたらいいな!
faciliview.peatix.com
次は「Reiko Wada」さんです。
ameblo.jp
おまけ
LSPの活用
この本にも一部言及がありました
ビジネスモデル for Teams 組織のためのビジネスモデル設計書
- 作者: ティム・クラーク,ブルース・ヘイゼン,今津美樹
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2017/11/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2017年の「今」を振り返る
やっていた人がいたのでちょっと興味を持って。
- 仕事:いろいろうまくいってない
- 目標:様子見。大きな目標は今はたてないことにしている
- 環境:悪くない
- 残業:時間的には多すぎではない
- 休出:今年は今のところ1回?
- 収入:意地であげようとはしてない
- 結婚:ついに10年を迎えようとしている
- 離婚:全くそのつもりなし
- 再婚:仮に離婚したらかなり難しい
- 子供:計画なし
- ペット:いらない
- 仲間:やや偏った人たちと付き合ってる感
- 車:そもそも免許がない
- バイク:そもそも免許がない
- 貯金:持株会がなくなったので投資先を別に作っているところ
- 借金:ない
- 土地:計画なし
- 生保:最初に入ったのがそろそろ解約可能な年数に
- 音楽:ノスタルジアの影響でまたクラシックの割合が増えた
- 洋服:Tシャツ率があがった
- 履物:壊れたら安めのものを買うの繰り返し
- 料理:あまりしてない
- 掃除:ほとんどしてない
- 洗濯:今年自分ではした記憶がない
- カラオケ:まだゼロ。たまにはいくか
- フットサル:下手なので興味がない
- 飲酒:月に3回ほど。やや増えた
- 喫煙:興味ない
- 身長:ほぼ変化なし
- 体重:どうにか70kg行かないようにこらえている
- 視力:左目が1.2→0.8になって凹んでいる
- 尿酸値:影響を与える薬を飲まなくて良くなったので改善に期待
- 毛髪:たまに白髪が見つかる
- 感情:起伏がやや激しい
2016年を振り返る
※ 写真はありたい自分を表現したレゴブロックによる作品
今年は少し活動の幅を増やしたことや、自分の中で整理できてきたことが多かったこともあって、まとまった記事にしてみたり、自分のアウトプットをちょっと増やした一年だったような気がしています。
特に自分にアウトプットの制約を課したアドベントカレンダーへの参加などは、来年も「結果を出すことを前提としたインプット」もしくは「インプットしながらアウトプットしていく」というスタイルを目指していきたいなと思っています。
まずは今年の大きな軸となったのは新入社員研修のカリキュラム化。
特に今年は、前年の研修を終えてからの次へのサイクルを意識したことや、偶然エンジニアのコミュニティにて知った「7つの習慣ボードゲーム」から「ゲームと学習の可能性」を突き詰めていくということ、また、「そもそもゲームとは何であるのか」に注目した一年だったように思います。
ということでまずはゲームの話から。
ゲーム
7つの習慣ボードゲーム
マツコの知らない世界にも出演された松永さんの開発したゲーム。
プレイ時間およそ90分という、やや重ゲーではあるものの、特に「主体性」、サイコロの偶発性に賭けるのではなく自らの行動により周囲に影響を及ぼす、自責、つまり結果に対して責任を持つために行動する、という考え方に強く共感しました。
認定ナビゲーターの一期生として研修を受講。このゲームの体験を通じて「協力ゲーム」というジャンルがあることを初めて知る。
アチーバス
お互いに協力してカードをやりとりし”17種類の原則”カードを集める協力ゲーム。
相手のしてほしいことを察知する、そのために自分がどういう情報の発信をするか、というコミュニケーション、情報発信においてとても共感できるゲームでした。
また、このアチーバスの体験会で、「キャッシュフローゲーム」「人狼」などのゲームなどを開催する勉強会に出会うことができました。
人狼についても「相手をいかに騙すゲームか」と思っていたのですが、そうではなく「場合によっては自己犠牲的なプレイをすることで味方のチームを勝たせる協力ゲーム」ということがわかり、ゲームの1つの特徴である「ルールは決まっているがその内容はプレイヤーの相互作用により決まる」という原則がわかってきた。
ボードゲームカフェ
次にタイミングよく「協力ゲームの日」を開催していたのが渋谷のボードゲームカフェ。
ここでは「アナログゲームをつくるラボ」が開催されたり、数多くのゲームに実際に触れることができたので、「パンデミック」「THE GAME」など、重ゲー・手軽なゲームなどの雰囲気がつかめたのがよかった。
また地元にも似たようなカフェ・バーがあることがわかり、そこでも店員の方がいろいろなゲームをおすすめしてくれた。
関連して、昨年末にコミケに初めて行ってみたので、今年はゲームマーケットに行ってみて、ここでも様々なゲームを体験したり、気になるゲームを購入したり出来て、社内でも月に一度(これは目標としていたのですが後半出来なかった・・・)ゲーム会を開催して社内の他部署のメンバーと仲良くなる機会を創出できたように思う。
ゲームって結局
「ゲーム理論」は「複数主体が関わる意思決定の問題や行動の相互依存的状況を数学的なモデルを用いて研究する学問」という内容であるように、「意思決定」「行動の相互依存」という、仕事でも常に発生する問題をロールプレイングすることで様々な自分の主体性を試すことができる、という面白さがあり、今後も引き続き注目していきたいテーマであると思いました。
研修とゲームについてはこちらの記事にまとめました。
仕事
業務で主に携わってきたのは以下のようなものでした。
いずれも、欲張った感と周囲の状況に振り回されたり自分がコントロールしきれなかった部分、あえて人に任せてみたもののそのフィードバックへの時間が取られたりして「片手間なものばかり」となってしまった一年だったという感想です。
- 顔認識
- 年間を通したプロジェクト
- データドリブンな組織のためのRe:dashなど
- マーケティングオートメーション
- 退職者発生に伴うチームの建て直し
- 趣味レベルで:IoT, ロボット, Unity
技術的には、Caffeを用いた顔認識技術については現在はより柔軟にモデル記述のできるChainerでの実装へ切り替えるべく、基礎的な技術調査からやり直し、自分の知識の穴を埋めていかなければいけない部分が多いことに戸惑っているという状況。またCNNだけでなくRNNやLTSMなどのより複雑なトピックについて今後どのように時間を使っていくのか、が課題になってしまった。
IoTについてはラズパイを初めて触ってみたり、ロボットもレゴ・マインドストームを触ったり、VRに興味を持ちUnityに少し手を出してみたりはしたものの、片手間な上に片手間なものを増やすことになりそうだったのでこれは断念。比較的「新しいものに触れることで次のサービスを考える」というポジションの仕事をしてはいるものの、「その触れるレベルは自分で何らかのMVPを作れる」というところまで追いかけたいと考えている自分としては不完全燃焼だった感じがある。
レゴ
マインドストームに関連し、今年一番のキーワードとなったのは「レゴ」。
以前より受講していたレゴによるスクラムを研修にかねてから導入したいという思いがあり、ブロックそのものは活用できていなかったのだが、今年大きな変化が発生。
その変化とは「ワークショップデザイン」の学習過程における「レゴブロックを使ったチームビルディング」のワークショップであった。さらにその過程で「LEGO SERIOUS PLAY」という考え方に出会う。
戦略を形にする思考術 レゴ(R)シリアスプレイ(R)で組織はよみがえる
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今年はすでにLSPファシリテーター認定を受けている人とすでに5名お会いしており、この方々の取り組みと今後自分が一緒に何ができるか、また、自身の活動の差別化として何ができるか、ということを考える機会となりました。
ワークショップデザイナーが自身の持ちネタを持ち寄って集まる会に、デザイナー側として登壇し、青学WSDの受講者から様々なアドバイスやポジティブなフィードバックを得たことでとても自信がついたし、そのような場に出席したことで知った「Points of you」の認定エバンジェリストとなれたことなど、「飛び込んでみた」ことで得られたことの多い一年だったように思います。
影響を受けた気がする本
- 作者: ジョン・ソンメズ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/06/02
- メディア: Kindle版
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今年一冊を挙げるとするとこれかもしれません。
学び方についてとか、自身のマーケティングについてとか、取り入れてみたい内容はとても多かった「集中する時間を作る」や、「特定のタスクはバッチにする(まとまった時間で行う)」は早速取り入れてみたい要素ではあった。
また、「ブログを書く」自分もちゃんとやったほうがいいんだろうな・・・。と思いはしつつ、これはどのようにしたらできるようになるのかを考えたいところ・・・。
割と響いたのは「先にご褒美を与えると脳がそれを完了したと勘違いしてしまう」ので、「あれを買ったら」「あの資格を取ったら」やる という考え方はしないほうが良い、という内容。LSPもそうですが「何か一応資格をとってから」という考え方がどうしてもあったので、もうちょっと「やったほうが良いと思ったこと」に対して腰を軽くしたい。
趣味・日常等
アタック25予選
妻の誘いで、アタック25の予選に出てみた。結果的には面接(オーディション)で不合格にはなったが、筆記試験は合格できたので、ちょっと楽しめたし、何しろ「テレビの裏側」的な話がいろいろ聞けたのが良かった。これは今年一番「自分だけではやろうと思わなかった」のに、誘われたことに乗っかったことで楽しめたことだと思う
野球
今年決めたことの中で一番大きかったこと。会社の野球部での活動をやめることにしました。主な理由としては土日の時間をもっと自由にしておきたかったこと。これにより「拘束されている」ことが減り、「自分が楽しめないかもしれないこと」を選択することも減らせたように思う。自分が出たいイベントに出たり、妻の誘いに乗りやすくなるような状態ができたことで、身体的疲労よりも精神的疲労が減らせたことが良かった。ちなみに抜けた後の部はまた上位に食い込んだらしく、いろいろな意味で良かった。
運動不足の問題があまり解消されていないけど...
見る方の野球としては、初物2つ。夏の県予選で、今年楽天イーグルスから一位指名を受けた藤平投手を生で見れたなど、応援スタンドの雰囲気を味わうことができたことと、プロ野球の方はオールスター観戦をすることができ、両方のチームを応援するお祭りをその場で味わうことができて面白かった。
謎解きゲーム等
アイドルは100万回死ぬ、地下謎への招待状3 では脱出成功。その他は君は明日へと消えていった、ある病院からの脱出は失敗。
その他団体のものもちょこちょこ参加しつつも「やったー、成功だー!」ってのはちょっと少なかったかも?
健康
相変わらず土日のどちらかはほぼ寝てるだけの疲労の日々・・・。
特に今年は「このまま家に帰ったら明日は出社できないだろうから会社近くで泊まる」なども含めて相当しんどかった時期が三回ほどあって、さすがにそういうのは年にあって1回にならんもんか・・・と思う。
中でもまずかったのはついに歯医者のお世話になってしまうことが決まったこと。。疲労要因もあったとはいえ、放置すると歯槽膿漏とかになってしまうリスクがあったので、対処できただけ良かったとしたい。
持病の方は病院を変えたことで、徐々に薬を減らす方向へ動けており、健康面ではここだけがプラス要素か。
2017年に向けて
年末に参加したReady For Actionの勉強会
この場に集った人はファシリテーションのプロの方々ということで...
アドベントカレンダーで「教育研修ファシリテーター」と書いたとおり、2017年はここに参加された人とともにファシリテーション界を盛り上げていけるような「プロのファシリテーター」をきちんと名乗って研鑽を積みたいと思っています。
まずは1月度のLSP研修が待っているのでそこで学びを深め、界隈の方、イベントへ参加される方へ価値を届けたいなと思っています。この読書会まとめの1つでもあった「リーダーはコーチングで育つ」ということも1つの鍵になると思うので、Points of youなどのツールを含めた自分の強みを正しく認識して発揮していきたいです。
...おっと。それより「今所属しているチームの課題」をちゃんと解決できるようにならなくてはな・・・。
社員研修とゲーム(ファシリテーター Advent Calendar 2016)
この記事は ファシリテーター Advent Calendar 2016 - Adventar の5日目の記事です。
私とファシリテーター
2016年より、教育研修ファシリテーターとして、社員研修に関わることとなりました。
2013年から、自身の所属する会社にてシステム開発研修の枠を担当しており、その中で2つのワークショップを実施したことをきっかけに、今年から研修全体の設計を人事部門と一緒に設計しています。
社内でいくつか実施しているワークショップの中で最も学びが大きいと思われるのは「ゲーム」であると考えており、その過程で、7つの習慣ボードーゲームの公認ナビゲーターとなりました。
また、ワークショップデザイナー、ファシリテーターの交流会で知った、写真を活用した POINTS OF YOU(R) というツールに出会い、認定エバンジェリストとしても活動しています。
2017年は、LEGO(R) SERIOUS PLAY(R) の ファシリテーター講習を受講予定で、抽象的なものを使い自身の内面、潜在的な意識を表現することで組織の力を高めるお手伝いをしていきたいと考えています。
私とゲーム型研修の出会い
大卒で入社したメーカー企業にて、二週間の全部門合同の導入研修、職種別の研修と、あわせて4ヶ月程度の研修を受講しました。
振り返ってみると「貿易ゲーム」や「プロジェクトアドベンチャー」のようなアクティビティが何度も行われ、そこで繰り返されたメッセージは「PDCA」でした。今でこそ計画有りきのPDCAはビジネスのスピードにそぐわないとされますが、いわば「仕事の基本」を叩き込まれたと思っています。
他のチームやメンバーと競い合うことでゲームに没入し、結果として何がうまくいって何がうまくいかなかったのか、また、その途中での自身の言動は周囲からどのように見えているのか、そのようなことをアクティビティを通じ学び、当時の講師に伝えられ、次のアクティビティでは自分なりの工夫をして、というサイクルが非常に新鮮であったことを今でも覚えています。
その活動こそが「経験学習モデル」だったのです。
経験学習モデルについてのおさらい
詳しくはリンク先を読んでいただきたいのですが、ゲーム研修による学びというのはまさにこのモデルにのりやすく、あるゲームを実施してそこで経験した学びは直接的に業務に活かせるわけではありません。しかしそれを「概念化」することこそが学びを最大にします。しかし、そこに「ファシリテーター」がいないと、ゲーム内で起きた出来事を、プレイヤーたちに適切に認識させることができません。
たとえば
- ふとした発言が場を変えた
- 誰かの言動を黙認してしまったことが結果的に失敗を招いた
などの「事象」や、その事象が発生したときに周囲がどのような行動を取ったか、これをファシリテーターが適切に観察し、フィードバックをする必要があります。もちろん、ツールとして写真を用いたりして、本人たちに内省を促すのも良いでしょう。
その場に「ファシリテーター」として携わることには難しさがあります。まず各ゲームには「ありがちな罠」がたいていあるものですが、ファシリテーターは「決まった結論を教える存在ではない」ので、その罠へ誘導してもいけません。しかし、ある程度はその罠にハマったり、罠にハマったことに対してのプレイヤーの気付きに対し、それを「正解のひとつ」となるような誘導をある程度は行うことになるからです。「研修」である以上、「こちらが用意した何らかの学びを持ち帰ってもらう」ことが必要になるケースが多いからです。
おすすめのゲームの紹介
新入社員研修では「PDCA」の重要性を学んだのですが、現代の新入社員には、PDCA、その先の「GPDCA」や「OODA」といった考え方を取り入れていく必要があるように思います。
ここからは私が活用しているゲームについて紹介します。
チームビルディングとコミュニケーション「マシュマロ・チャレンジ」
下記の動画で紹介されているゲームです。
当社では研修の前半にこのゲームを取り入れています。特に、(どこでもそうだと思いますが)当社で求められる「主体性」が必要とされます。つまり、「その場で起こることを自分ごととして捉え、自分の言動で周囲を動かしていく」ということが求められます。限られた材料で「目標を目指すこと」を知り、「周囲の仲間と合意する」ことや、「チーム内で自分の場所を動的に見つけていく」ことが求められる、ファシリテーターにとってもスリリングなゲームです。
食品を扱うことに批判等があるので、代わりに紙のみでタワーを作る「ペーパータワー」や、レゴブロックを高く積み上げる「レゴの高積み」なども良いでしょう。
シンプルに積むだけではなく、色や形の使い方に制限を加えるルール変更を施すと、また状況が変わります。
シンプルなコミュニケーション、「次回こうすればよかったのでは」が生まれやすい 「THE GAME」
- 出版社/メーカー: Nurnberger-Spielkarten-Verlag
- メディア: おもちゃ&ホビー
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「協力型ゲーム」の中でもルールが極めてシンプルなゲーム。4名がおすすめ。基本的に「相手が欲することをする」ということを基本としているがコミュニケーションがある程度断絶されているという点で、やや業務をすでに経験したことのあるレベルのメンバーに対して内省をもたらす用途が良いかもしれない。
コミュニケーション断絶系で言えば
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2016/03/19
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も良いかもしれないです。
刻々と変わる状況への対処。ポイントは優先度づけ? 「禁断の島」
- 出版社/メーカー: Gamewright
- メディア: おもちゃ&ホビー
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業務でもありがちな「各プレーヤーそれぞれができる能力が違う」という状態で協力してミッションを達成するゲーム。ミスは一人のプレイヤーの責任ではなく、全体でその判断を下したからだ、ということが理解できる。また、ルールがそこそこ複雑なので、ルールをきちんと理解できているか?また、理解できていないとしたらそれを質問できるか?などの仕事への基本的な取り組み方を知ることもできる良ゲー。
プレイ時間も45分程度なので「PDCAが実際に活かせているのか」をみるために2回プレイすることもおすすめ。
予算と時間があえばたぶん最強「リアル謎解きゲーム」
「リアル脱出ゲーム」を提供するSCRAP。
youtu.be
SCRAP は専用で研修・懇親会向けの制作も行っています。
他には、常設型の なぞともカフェ 新宿店 最新情報 - 謎とも/なぞとも - 参加体験型イベントレビューサイト やそこで扱っているカップ謎やNAZOLETなども手軽で良いですが、製品の都合上1回しかプレイできないものもあるので、複数個購入が必要なものもあるし...
特にチーム戦で行うリアル謎解きゲームでは、制限時間内でのミッション達成のため、たくさんの問題を解く必要があるが、その解答プロセスや、新しく得た情報を共有しないとクリアできないものが多いため、こちらも業務で発生しがちな問題をゲームとして体験できます。
最後に(振り返りの活動の紹介)
me/we/good/bad の4象限 という名前の振り返り方法を利用しています。KPTでも良いのですが、もっと「自分」にフォーカスしてもらいたいため、考案しました。(この象限モデルは「タモリのボキャブラ天国」の「バカパク・インパク知」を参考にしています)
良かったこと(good)、悪かったこと(bad)をそれぞれ度合いごとに、自分自身のこと(me)、チームまたはメンバーのこと(we)としてマッピングします。
メンバー間のギャップ(例えば9割の人が良い活動だと思っていても1割の人には何らかの不満があった可能性がある)を共有して解決策を探ったり、進行中には言えなかったことなどを改めて問題として提起したり、活動に対して個人が犠牲的になったことなどを共有し、次回に活かす時に使えます。
特に「自分の良かったこと」はなかなか挙げづらいが、「全体で良かったこと」として特定個人の良いはたらきが挙がったりすることで、全体として客観視することができる。また個々のメンバーが持っている価値観を知ることができます。
それぞれの象限へ書かれる「個数」を同じ個数にするように指示することで「自分が悪かったことばかりにならない」など、「悪かったことだけでなく良かったことの原因を振り返る」癖や、「メンバーの良い行動を褒める」ことにつなげることができるようになります。
その他参考
- 作者: 藤本徹,池尻良平,高橋興史,為田裕行,福山佑樹
- 出版社/メーカー: Ludix Lab
- 発売日: 2016/04/09
- メディア: Kindle版
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2人から100人でもできる! 15分でチームワークを高めるゲーム39
- 作者: ブライアン・コール・ミラー,富樫奈美子
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2015/04/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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グループのちからを生かす―プロジェクトアドベンチャー入門 成長を支えるグループづくり
- 作者: プロジェクトアドベンチャージャパン
- 出版社/メーカー: C.S.L.学習評価研究所
- 発売日: 2005/11
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- www.gameryouiku.com
長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。
ゲームを体験してみたい方など、ぜひコメント欄等でご連絡ください。
ゲーム研修の難しさのひとつは・・・実際に体験してみないとおすすめ度がわからないことだと思います...
今年は、レゴ マインドストームを用いたゲームを開発しようとしていますが・・・間に合うかな・・・。
6日目は
再度、高柳さんが書いてくださるそうです!
note.mu